おしりたんてい

うかうかしているうちにはてなダイアリーのサービスが終わってしまったので今日からははてなブログに日記を書いて行くことにする、などと言っても、しかし日記とか言っていても、毎日書くなんてことがこの頃はてんでダメで、この頃はパソコンに電源を入れてインターネットに接続することがほとんどなくて、下手をすると月に一度とかになっていて、もう全然日記になっていない。人のブログも読まない、YouTubeも見ない、ツイッターも開かない、じゃあお前は毎日何をやっているのだ? 俺は毎日子育てをやっているのだ。

5歳半になった娘は「おしりたんてい」にハマっているのだった。「おしりたんてい」なんてみなさん知ってますか? 「おしりたんてい」の絵本を本屋で娘に見せられたのは去年の夏だったか、これが欲しいなんて言われてもお尻の顔の表紙の絵をひと目見てこんなのは下品な絵本に違いないのだから絶対に買わない、違う絵本にしなさい、とネズミが海水浴に行く絵本をかわりに買ったのだがネズミの絵本は一度読んだだけで本棚でホコリをかぶる。年が明けて今年の1月だったかに妻と娘がビブレから帰って来ると娘は妻から「おしりたんてい」の絵本を買ってもらっていた、読んでみるとこれが。なんて上品な絵本なんだ! 犯人探しの絵本なんて一度読んで犯人がわかってしまえばもう読まないんだからもったいない、なんて思っていたのだって大間違いだ、読むたびに新しい発見があり10回でも20回でも読めるじゃないか。

そしてこの頃娘はおしりたんていの話をして、と僕や妻に頼むので勝手に考えたおしりたんていの話を寝る前でもお風呂の中でも朝ごはんの席でも保育園から帰った夕方でも日曜日でも土曜日でも、用事のない休日などは畳の上にたたんだ布団に背中をもたらせて1時間でも2時間でもえんえんおしりたんていの話をするのだ、僕の話すおしりたんていの中でおしりたんていはおしりさんと結婚し今では大学生の娘、小学校五年生の娘、5歳の息子、それに赤ちゃんもいて、おしりたんていのライバルの怪盗Uだって結婚して子供がいて子供同士は同じ小学校や保育園に通っていて友達だったりして、そんな話をせがまれるままにえんえん続けていると日記を書く余裕なんてないんだった。

それに僕は大晦日坐骨神経痛が出て年が明けてから整体に通いだしてそろそろ2ヶ月経つ今頃になってやっと痛みが取れて来たというのもあり、とにかく夜は早く寝たい、起きていても痛いだけだ。朝だっていつまでも寝ていたい。そんなこんなで早朝のランニングももう何ヶ月もお休みだ。暖かくなったらまた走る。

娘が親切にも分けてくれたグミを一つか二つ食べたら奥歯の虫歯の詰め物がグミにくっついてポロッと取れたので歯医者に行った、歯医者に行くのなんて十五年ぶりくらいだ、特に痛いところがなかったから長いこと歯医者に行っていなかった。だのに、虫歯がいくつもできているじゃないか! 歯が割れているところもあったりして10ヶ所も治療しなくちゃいけない、なんて言われてああ、厄年とはこういうものなのか。ならば徹底的に歯を治し、坐骨神経痛も治し、ランニングを再開し、筋トレをし、厄年の今年は健康をとにかく向上させよう、体重もあと10キロ増やしてBMIを22にしよう、というのが厄年の抱負。

歯医者さんに言われたのだが、どうも僕は普段無意識に歯を食いしばっているらしい。食いしばっているというのが言い過ぎならば口を閉じているときに歯と歯を合わせる癖がある、その癖が寝ているときにも出ていてものすごい力で歯ぎしりをするか歯をくいしばるかしているらしい、だから歯と歯茎の合わさるあたりにくさび形の割れ目ができている。口を閉じているときは上の歯と下の歯をくっつけているのが普通だ、と思い込んで何十年も生きて来たのにそれは間違いだった、歯と歯は合わせてはいけないのだ、と教えられ、毎日口の中で歯と歯を合わせない生活を送るようになるとどうも歯がふかふかと浮くような変な感じだ。ああ歯を噛みしめたい! と夢の中で歯を噛めないのがツライ、などという夢をみて目がさめる。いつか慣れるときがくる、と歯医者さんは言う。歯みがきは歯の表面をみがくのじゃなくて歯ブラシを立てて歯茎に突き刺すようにしてみがきなさい、歯茎の隙間にたまったゴミに細菌が繁殖する、そうすると細菌から逃げようとしてアゴの骨が遠ざかる、骨が逃げるから70歳、80歳になって歯が抜ける、そんなことを歯医者さんは言う。

ネットに繋がない生活を送っていてもインスタグラムだけはときどき見ていて、主にランナーをフォローして何日かに一度は開いていて、あの人は朝5時に起きて10キロも走っているのか、この人は夕方に20キロか、なんて言って見ているんだけど、こないだの京都マラソン(僕は抽選に外れて走れなかったのだがしかし抽選に当たっていたとしてもこの坐骨神経痛ではとても走れなかっただろう)では僕がフォローしているかんちゃんがはるばる静岡から京都まで走りにやって来る、液晶画面で見ているかんちゃんが目の前を走って行くのに会えるかもしれない、ということで家の近くの賀茂川まで応援に行ったのだった。僕の家の前の賀茂川のあたりはだいたいスタートから20キロちょっとくらいで去年僕はハーフマラソンを走ったからハーフマラソンのゴールに当たるくらいの距離のところで、僕はゴール前はもう脚が動かなくてよろよろ歩いてゴールしてたぐらいなんだけどその20キロ過ぎのところをかんちゃんはまっすぐ前を見てタッタッタと結構なスピードで走りすぎて行く。うわ、かっこいい。俺もあんなふうに走れるようになりたい。