タイムマシンはトイレの個室です

今朝の夢。

古い建物。天井が高く、柱が立派で、壁紙も油絵みたいな模様で、ベルサイユ宮殿みたいな、ヨーロッパ風の、雰囲気のある建物の廊下を歩いている。ヨーロッパを真似て明治大正の頃に京都で建てた小学校であるらしい。ここは廊下のようでもあるが、並木道のようでもある。柱のように見えるのは杉並木の杉の木なのかもしれない。レッド・ツェッペリンのアルバム『フィジカル・グラフィティー』が聞こえている。アルバムの最後に「天国への階段」が入っていることになっていて、次に聞こえる曲は「天国への階段」のはず。聞こえている曲を「天国への階段」だと思って聞いていたが、どうもちょっと違うようだ。あれ、これ、なんの曲だっけ? と考えてジョン・レノンの「イマジン」だと気がついた。ツェッペリンロバート・プラントがあの高い声で「イマジン」を歌っている。ギターは硬めの音で高い方の弦をジャーンと伸ばして引いている。『フィジカル・グラフィティー』にこんな曲入っていたっけ? ボーナス・トラック? それにしてもアルバムの最後の曲の一つ前にボーナストラックを入れるなんて無粋だな、と思う。あのアルバムは「イマジン」なしで完結してたのに、と思う。

娘を小学校に連れて行く。外から見た小学校は僕が子供の頃に通っていた小学校だった。校庭を歩きながら見る白い校舎が懐かしい。校庭からちょっと段を下がると玄関があるのだが、この段も昔とちっとも変わっていない。今日は親も一緒に教室で勉強を見守る、というか、一緒にゲームのようなことをする。さっきのヨーロッパ風の廊下のようなところに扉が並んでいて、その扉を開けて中に入るとそこが教室になっている。教室で、親たちはそれぞれ自分の子供と一緒にレゴに似た立体的なパズルを組み立てる。組み立てることが問題を解くことになっている。問題の答えを作品の形で表現する。それが今日の勉強らしい。

コロナのせいか何かで、ずっと同じ教室を使うことができず、明日はどこか別の場所で勉強しなくてはいけないという。その場所を決める当番が僕の番になるのか、先生に、どんな場所がいいか相談しながら廊下を歩いている。娘は今は教室で一人で勉強をしているようだ。廊下は並木道でもある。並木道の突き当たりには神社があり、神社の能を舞う舞台みたいなところで人が集まって話し合いをしている。帰る時間になり、僕は舞台の外に脱いでおいたブーツ、膝まであるブーツを履こうとするがなかなか履けない。僕のブーツの隣に先輩のブーツがあり、僕は間違って先輩のブーツを履きそうになるのだが、先輩が来て、お前のはこっちだろう、こうやってつま先から先に入れて履くんだ、と教えてくれた。先輩は無精髭をはやした浅野忠信だ。僕と先輩はタイムマシンで過去に戻って過去を変える仕事をしている。廊下を歩いて行き、何度か角を曲がってさっきの教室を通り過ぎ、突き当たりの扉を開けるとそこがトイレ。古くて汚いトイレだ。トイレの一番奥の個室に入り、座っておしっこをする。おしっこをしている途中で加藤が勝手に扉を開けた。やめろよ、そういうことするなよ。でも、加藤が入って来たということはここは僕が高校生だった頃の時間だということになる。タイムスリップは成功だ。トイレを出て廊下をちょっと歩くと駅の待合室みたいな場所があり、壁じゅうが黒板で、ここに白のチョークで入試問題が書いてある。この問題を解いて紙に書いて提出しなくちゃいけない。5=10ー5=5という方程式が書いてある。なんだ、簡単だ、と答案を提出しかけると、実はいろんな人が黒板の字を触ったものだから問題が消えかけていて簡単に見えていただけだった、ということがわかる。消えかけていたのを先生がもう一度チョークで書き直す。本当は指数とかがいっぱいある、何段にもなる方程式だった。これは時間内に解けない、と困っていると、吉田くんが答えを教えてくれるという。吉田くんのところに答案を持っていけば答えを書いてくれるという。

試験会場を出てしばらく歩いていると、追っ手が僕を捕まえた。タイムスリップで過去を変える我々の仕事を快く思わないやつがいて、たぶんそいつは悪者なのだろうが、悪者が僕と浅野忠信をやっつけようと大勢の手下を送って来たのだ。手下の中には綾瀬はるかがいた。