ハゲに悪人なし


いつもの通り、いろんな本をとっかえひっかえ読む日々の中のある日。ちょっと読んでは別の本、ちょっと読んでは別の本と、そんな持久力の乏しいぼくが今読みかけている本たちは。
こないだのリーディング公演で大阪に行ったときに、商店街の古本屋で百円で買った矢作俊彦『スズキさんの休息と遍歴』は、ハゲかけのスズキさんが息子と二人で2CVに乗って遍歴する話。「それは多分、レーニンがハゲだったせいだろう。そしてスターリンはみごとなロマンス・グレーだったではないか」というわけで、ハゲに悪人なし。という言葉はハゲる家系のぼくにとってどれほど心強い言葉なことか!
フィリップ・K・ディックはずっと気になっていたけど、この歳になって初めて『流れよわが涙、と警官は言った』、をぼくは買った。若い女の子に「寝て寝て私と寝てん」と言い寄られる中年のジェイスンをちょっとうらやましく思いがちになるも、「めんどくさそーだなー、そーゆー人生も」といいながら3分の1くらいまで読んだ。
早稲田文学増刊π』は古井さんと佐々木さんの対談と、佐々木さんのはじめての小説というのが気になって買ったけど、「青脂」とか「農耕詩」とかもなんか結構なボリュームで、「農耕詩」の丸ガッコの中身が延々と続く文章がおもしろげ。うちのお嫁さんがたびたび口にする松田青子という人の小説も載ってるので、この機会に読んでみようっと。
早稲田文学増刊π』と一緒に恵文社で買ったのが柴崎友香『よそ見津々』。パクチーが苦手で深沢七郎小島信夫をおもしろいと書く柴崎さんのエッセイならばきっと楽しめるに違いない! と、たまに手に取ってパラパラとめくり、気になったことばを見つけたらそのあたりを読んでみる、という読み方をしていると、ぼくはどうも食べ物のことを書いたところばかり読んでいるらしいよ。カバーをとった表紙は、五反田のアトリエヘリコプター周辺の地図になっているみたい。
ひさしぶりで行った市立図書館で借りたフランソワ・ヴェイエルガンス『母の家で過ごした三日間』は、さっき読み始めた。なんかのっけから話が横道にずれて行くんだけど、この脱線していく感じが楽しいな。
それからまだ読んでいないんだけど、ぜひ読んでみて、津波の話なんですから。と年上の人にメールですすめられたのが花輪莞爾の『悪夢小劇場』と『海が呑む』。