遅く起きる。快晴で暖かい。娘と庭に出て赤い実を摘んでお菓子屋さんごっこなどで遊んでいると、祖母がマヨネーズを持って外の流しにぶしゅー、ぶしゅー、とマヨネーズを流し始める。娘はこの曾祖母のことが好きなので、何をやっているのかと近づき、のぞき込む。古くなったマヨネーズを捨てるのに、中身がはいったままだとプラスチックのケースがリサイクルできないから、中身を捨てている、ということらしい。が、父が出て来て、逆に川が汚れるから、と止められる。昼食は曽木に住む母がたの祖母の家で食べることにする。母と僕と妻と娘の4人で母の車で出かける、途中、焼きまんじゅうを買う。子供の頃はこのもさもさとして食べづらい、甘い味噌ダレのまんじゅうがそれほど好きではなかったが、今では群馬に帰るととりあえず食べておこう、という気持ちになる。が、好きなのか? と聞かれたらたぶん好きではない。好きじゃないけどなつかしい。曽木の祖母の家では子供の頃にときどき食べたラーメン屋からラーメンをとって食べようと思っていたのだが、大晦日だからラーメン屋は休み。しょうがないので母と妻がコンビニまで行き、カップラとかおにぎりとかを買って来る。曽木の家に行くとどうしてこんなにかくれんぼや鬼ごっこがしたくなるのか? 僕らが子供の頃はいとこたちがこの家にあつまり畳がすりきれるほど走り回ったものだったが、僕の娘も曽木の家に来るとテンションがあがり、かくれんぼをしようと僕と妻とを誘って三人で何度もかくれんぼをする。部屋がいっぱいあり、その部屋の出入り口もふたつみっつずつあり、思わぬところに階段があり、ちょっと「となりのトトロ」のさつきとメイの家みたいな感じで、娘はひっこして来たばかりのさつきとメイになったつもりで走り回る。ばたばた走り回っているところに宇都宮の叔母夫婦がお年越しのために車で祖母の家にやって来る。母と僕と妻と娘の4人で曽木神社に散歩。曽木神社に来たのは二十何年かぶりじゃないか。池があり、鯉が泳いでいることなんてすっかり忘れていた。今度来るときは食パンを持って来て鯉さんにあげよーね、という話をする。母が子供の頃はもっと水がすくなくて、水がわいているところが見えた、とか。そもそも曽木神社の起源はわき水のほとりに社を建てたことなのかもしれないねー、という話をしたり。母が子供の頃は神社のまわりをぐるぐるまわって鬼ごっこをしたんだったという話を聞くと、鬼ごっこ好きの娘はさっそく鬼ごっこをしたくなり、トト! 追いかけて! と神社の土台のコンクリートの上をぐるぐると走り始める。帰りは「たかり草」をつみながら線路のほとりを歩き、ゴー! と通り過ぎる電車を見送る。いとこのキーくんの家の前でいとこのキーくんに会う。祖父の葬式のときに会って以来だから十年ぶりだ。十年前は金髪の長髪だったが、今では黒髪の短髪。すっかりおっさんになったんだな。俺もおっさんになった。話題もなく、あまり目を合わせることもせず、「トトのいとこのキーくんだよ」と一生懸命娘に話しかけてみたりしてお茶を濁す。そうこうするうちに暗くなり始め、母の運転する車で実家に戻る、弟の一家が実家に帰って来た。弟の家は小学生と保育園の男の子ふたりで、静かだった実家が急ににぎやかになる。男の子たちはどこからかおもちゃをたくさん探しだしてくる、ギターをかき鳴らす、「PPAP」を歌って踊る。僕は娘と一緒に寝てしまい、紅白歌合戦ははじめのほうしか見なかった。紅白終わったよ、と妻に起こされ、大人だけでカップそばを食べて「朝までさだまさし」をちょっと見て寝る。