家族三人新幹線に乗り群馬の実家に帰省。昼過ぎに高崎駅に着き父母と再会。父の車で朝鮮飯店へ。朝鮮飯店は群馬の焼き肉屋さん。父母の家で暮らしていた子供の頃は時々ここに連れて来てもらい焼き肉を食べたんだった。帰省して焼き肉店に連れて行ってもらうたびに、こっちがロースでこっちがカルビ、と父母に教えてもらうが、何ヶ月もたつうちに「あれ? どっちの肉がおいしかったんだっけか?」と分からなくなる、カタカナの名前だし、めったに食べる物ではないからなかなか覚えられない。子供の頃はいつも玉子スープを頼んだものだったなあ、と懐かしく、今日も玉子スープを注文してみた。記憶に残っている味よりもちょっとしょっぱくなっている気がするが、ごま油の香とふわふわの玉子は子供の頃に飲んだのと同じだった。肉よりもキムチよりも玉子スープが一番懐かしくてうまい、と書くと嘘になるな。焼き肉だってかなりうまかった。実家につき、玄関を開けるとふわっといい匂いがする。下駄箱の上にでかいゆずが置いてあったのでその匂いかと思ったが、母がお正月用にいけて玄関に飾っていた梅の花の匂いだった。剣山に花をさす、子供の頃に見た母の姿がふと頭に浮かぶ。荷物を置くと娘は「群馬のおばあちゃん! 畑行こう!」と夏に見た畑のトマトをもう一度見に行く、夏に来た時、娘はミニトマトを食べきれないほど収穫したのだった。娘が畑に行っている間に、僕は父が買ったインターネットができるという大きなテレビに電話線をさしたりして、テレビでyoutubeを見られるようにセッティングする。畑には野菜がなかった、と少しがっかりして戻って来た娘だったが、こちらはテレビにyoutubeが映った! とおおはしゃぎで、娘のがっかりした気持ちをきちんと受け止めてやらなかった、のがちょっとかわいそうだったか。いや、かわいそうというよりも、季節と野菜の関係を教えるいい機会だったのに逃してしまったな、とそのことを残念に思う。今回の帰省では祖母の話をよく聞いておこうと思っていたので、古いアルバムを引っぱり出して祖母の部屋に行ってみる。70年前の白黒の古い写真を見ながら祖母は若いときに死んだ祖父の話や、父の小さかった頃の話などを話してくれた。祖母は、テレビ局の人がテレビを通してこちらの話を聞いているとか、自分は嵐のメンバーの一員であるとか言って、テレビの世界と自分の生活が頭の中で一緒になっちゃっている。祖母がテレビに向かって話しかけているのを初めて聞いたのは去年の秋頃の帰省のときだったか、あのときは不気味に感じたものだが、テレビのこと以外では頭がはっきりしているっぽいので、慣れれば不気味だなどとは感じず、「おばあちゃん、また言ってるなあ」とむしろおもしろい。祖母は耳が遠いので左の耳もとで大声で話す必要がある。晩ご飯はお寿司。晩ご飯のあと、持参したばばばあちゃんのすごろくで遊ぶ。
- 作者: さとうわきこ
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