ぱぱ

noise-poitrine2014-03-16

 走ったり歩いたりしてばかりいる週末だった。
 金曜日はバンドの練習。練習のあと、サイゼリヤでちょっといっぱい。のつもりが結局終電まで飲んでしまう。ちょっといっぱい飲むだけだから、駅から遠いほうのサイゼリヤに行ってみよう、そうすれば飲んだあと駅までぶらぶら歩くのがちょうどいい酔いさましになるだろう、そんなことを考えたのがいけなかった。気がついてみれば終電まであと6分しかない! それで駅まで猛ダッシュ。ワインを腹一杯のんだあとにダッシュしたものだから、まわってまわってしかたがなかった。心臓や肺も痛い。死ぬかと思った。
 土曜日は大阪のハードレインでライブ。ここのところ妻が寝不足なものだから、お昼ご飯のあとに僕がひとりで娘をつれて散歩に行く。ベビーカーに載せて近所を小一時間歩いていて、ふと気がつけばもう2時になるではないか。リハーサルは3時半から。すぐに電車に乗らないと間に合わない。それで娘を家に連れて帰り、楽器を背負って駅まで走る。大阪に着いたら、ハードレインまでまた走る。しかし初めてのライブハウスなんで、どっちに行けばいいのかよくわからない。やみくもに走っていたら、横断歩道がなくて大通りを渡れなかったり、歩道橋にのぼろうとすると、足の悪いお婆さんが三人横に並んで歩いていて追い抜けなかったり。とにかく走って五分ほど遅れてハードレインについた。心臓や肺が痛い。死ぬかと思った。
 リハーサルが終われば何もすることがない。真っ昼間から地下のライブハウスにしゃがんでいてもしかたがない。それでひとつ大阪の街を見物してみようと思い、2時間くらい延々と歩き回る。堂山町というところがすごかった。エロい店とカラオケ屋とレストランとがごっちゃになって並んでいて、エロい人も、子連れの家族も、学生も、外人さんも、いろんな人がごっちゃになって歩いていた。金と欲望の街、という感じがした。
 暇なので、立ち食いうどんと、吉野家の牛丼を食べた。吉野家は照明が白の蛍光灯で、その白さが機械の部品を隅々まで照らす工場の照明みたいで、だから工場内でめしを食ってるような気分になるんだけど、その無骨さに逆に情緒を感じる。なか卯とかは照明が黄色っぽくて、その黄色い照明の下でご飯を食べるとご飯がすごくおいしそうに見えるのだけれど、照明なんかでごまかさないぞ、うまそうに照らそうが機械っぽく照らそうが牛丼は牛丼じゃないか、という吉野家の姿勢に、トレンドに流されない強いこだわりを感じる。
 ライブは鉄琴の八木君抜きで演奏。八木君んは仕事が残業のためライブに間に合わなかった。僕らの演奏が終わって、次のバンドが演奏しているときに「もう、機械は嫌ですわ」といいながらやって来た。だいぶ参っているげだった。八木君と寺田君はこのあと夜行バスで東京。ふたりで東京と横浜でライブをすることになっている。
 10時40分大阪発の電車で京都に帰る。
 帰り道、家の近くで自転車に乗るマチョミックスに会った。仕事帰りだという。トーキョーバイクの速そうなかっこいい自転車に乗っていて、お、実は速い人だったのか、と、マチョミックスの印象がさらに良くなる。

 日曜日の今日は、娘が保育園で使うためのふとんを買いに行く。妻の弟の運転するクルマに乗って、僕と妻と妻のお母さんと。なかなかこれだ、というふとんがなく、よさげなのがあってもプーさんの絵が書いてあったりする。それにほとんどのふとんがポリエステル100パーセント。できれば綿とかがいいんだけど、といいながら、ポリエステルのふとんを買う。木綿のふとんカバーを別に買う。それから布おむつだとかストローつきの麦茶を飲むカップとかも買う。お昼は妻のお母さんにハンバーグをごちそうになった。ショッピングの間、ずっと娘をだっこして歩いていたので、けっこう腰に来た。
 帰宅後、妻と娘と3人でチョキチョキへ散髪に行く。チョキチョキは今月いっぱいで閉店。なのでこれが最後のチョキチョキ。
 夕方、自転車屋さんに自転車をとりに行く。お店の人は自転車の修理に追われているみたいで、みんな忙しそう。カタログで見ただけで注文した自転車なので、色がちょっと心配だったんだけど、とてもいい色で安心した。あこがれの店長さんにも「かっこいいですね」「これは私も欲しくなりました」などと褒められて嬉しい。が、しかしお店のブログに載せていいですか? という話はひとつもでなかった。ちょっと期待していい服を着ていったのだが、残念。夕方行ったのがいけなかったのか。今日はすでにブログの記事用の写真は撮ってしまったあとだったということなのか。

 我々はチョロQと呼んでいるのだけど、娘は四つんばいの姿勢でからだを前後にゆする、という動きを見せるようになってきた。ちょうどチョロQのゼンマイをまく動きに似ている。いよいよはいはいをしようと勢いをつけているのだろうか。

 台所で育てている大根の葉っぱがどんどんのびる。いくら食べてもなくならない。大根の葉っぱばかりをどれだけ食べたことか! このまま無限に食べ続けることができるのか。とうとう花が咲きそうになっている。

 娘はいよいよ言葉っぽいものをしゃべりそうになっている。ぱぱぱぱぱ、と破裂音をしきりに発音する。俺は娘に「おとう」と呼ばせるぞ、群馬の家庭ではみんな「おとう」と「おかあ」なのだから、と言っていたのだけど、こうなると「パパ」でもいいかな、と心が揺れる。ぱぱぱぱ、と言われると、とりあえず、はい、パパはここにいますよ、と返事をしてみたりしている。