京都の梅雨は八日にあけたんですって

長嶋有『ねたあとに』読了。最近小説を読み初めても途中で投げ出してばかりいたのだけれど、『ねたあとに』はおもしろく読めた。地の文の時制が現在形で書かれることが多くて、戯曲のト書きみたい。小説の中の人たちと一緒になって、山の中で遊んでいるような気分を味わった。
日曜日、かみさんと一緒に劇団衛星の演劇をみに行った。終演後に知り合いの人と話す。出演していた人とも話す。
「ヒダさんも俳優で、」と紹介されると、
「いや、でも、いまは何もやってなくて、」とお茶をにごし、
「ヒダさんはバンドをやっていて、」と紹介されると、
「でも、もう一年ぐらいライブしてなくて、」とお茶をにごし、
「劇作家なんですよ、」と紹介されると、
「あ、でも、なかなか書けなくて、」とお茶をにごし、
「この劇場でなにかやりませんか?」といわれると、
「いやー、でも、仕事があったりするから」
と、お茶をにごして、しりごみしてばかりでちっとも要領を得なかったぼくは、きっと演劇や音楽から遠ざかっている今の状態が後ろめたいのかもしれない! とか自分で分析をしてみる。もう、いろいろ活動している演劇の人たちがまぶしい! それにひきかえ俺は、演劇も音楽も中途半端で……、とやけに後ろ向きで弱気で自信のなさげな気分。
だけれども、ほんとになんもしてないわけじゃなくて、ちゃんと毎日書いている。朝に書いて、昼から仕事。夜に帰ってきてラーメンを食べて寝る。書いても書いても「あ、これはダメだな」と捨ててばかりいるので、ちっとも形になってこないんだけど、それでも毎日書いてます。いつになったら書き上がるのかしら、これは。や、でも、書くのは楽しい。