その昔、山里のおばあちゃん達が知恵を絞って、山で働く人々の大変な労働力を支えていた杣人飯(お弁当)は、豪快かつ栄養価の高いもので、ご飯とご飯の間に惣菜を挟んで大盛り弁当にするものや、奥吉野や南紀熊野地方の名産品、目を張って食べると言われる「めはり寿司」などがあります。
    (お正月の帰省のときに新幹線の駅で買った駅弁の包み紙より)

 正月の帰省の際、上信線の窓からは通り過ぎていく田畑が眺められ、稲が刈られたあとの田んぼ、しおれた白菜の葉っぱが捨てられた畑、その間を通るあのあぜ道には薄いナイロンのジャンパーを着たおじさんや、中学生くらいのやせた子どもが、たいていはひとりだけで立ち、斜めから射す午後四時の太陽の光に照らされて、どこか遠くの一点をじっと見ていた。