今日は月に一度の朗読会の日

 今回の会場はFint,takk!(この朗読会は毎月場所を変えて行われる)。

 この朗読会には、毎回思いもよらない人が現れて、そういう思いもよらない人に僕は毎回たいへん刺激を受けるんだけど、朗読会に行く前はそのことを忘れていて、なんとなく心の準備をせずに参加してしまう。そうやって心の準備をしていないところにとんでもない人が現れたりして、そうすると僕はびっくりして興奮して嬉しくなって、朗読会の帰り道では世界が昨日と違って見える、みたいなことになる。ちょっと大げさだけど。
 で、今日もやっぱりすごい人がいて、僕は「世の中にはいろんな人がいるんだな!」と嬉しくなってしまった。

 まず飛び抜けてすごかったのがカタカムナについてしゃべる学者のおじいさんで、この人は朗読会だと言っているのに朗読をいっさいせず、えんえんとカタカムナのことをしゃべって、しゃべりだすと止まらなくて、それがひどくおもしろくて、僕は「ああ、こういう人のことをKYというのだろうな」と思ったのだけれども、でもこの場合のKYというのは蔑称ではなくむしろ褒め言葉である。
 芸術とか学問とかの分野では、KYこそが本領を発揮するんじゃないかしらと僕は思う。他人にどう思われるかなんてことを気にしていては短い人生で芸術や学問を究めることなんてできないんだろうと思う。

 あともうひとりすごかったのがモリマモリ族という団体の女の子で、この人は朗読会だと言っているのに、歌ったり、踊ったり、モリマモリ族が世界をどのように見ているのかみたいなことをしゃべったりして、それで僕は「ああ、KYだなあ、いいなあ、いいなあ」と、始終ニヤニヤ笑っていた。このニヤニヤ笑いはバカにして笑う笑いじゃなくて、予想していなかったものと出会った嬉しさに僕は笑っていたのだ。

 あとは岡室さんの読んだ柳田國男も良かったなあ。なんかちょっと泪が出そうになった。あんずさんの読む竹内浩三も良かったなあ。