ニワトリ、ブギウギ、吸血鬼

連休の初日である。今年の僕は8連休である。大変な贅沢である。
今日はユニクロにTシャツと靴下を買いに行った。帰り道、鶏肉屋さんで鶏ガラと鳥皮を買った。鶏ガラは一羽ぶんが50円というニワトリに申し訳なくなるような安さであった。
この連休の後半に職場の人たちと金沢に旅行に行くことになっているので、予習をしておこうと思って吉田健一の『金沢』を読んでみたが、おっさんが酒を飲んでばかりいる話で、それで僕も酒を飲みたくなって生協で紙パックの日本酒を買って来て飲みながら『金沢』を読んでいたら、眠くなって寝てしまった。
目を覚ましてちょっと本を読み、またうとうとと居眠りをして、また起きてまた眠ってまた起きてそれから銭湯に行った。今日は寝てばかりいる日であった。
鶏ガラでジャガイモと人参とタマネギのスープを作った。超うまいスープができて大変な満足である。


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こないだ美術館で江戸時代の人がつくったふるいお皿とかをみたんだけど、柄杓かなんかでばしゃっといきおい良く色をぶっかけたみたいな感じの模様のお皿があって、しぶきとかハネとかがそのまま残っているそのいきおいの良さに、江戸時代に生きたお皿職人のからだの運動が刻み込まれているみたいな印象を受けた。お皿に色をぶっかけた人が「えいやあっ!」と言って色をかけたからだの動きが、ビデオテープに記録されるみたいな感じでその模様に記録されてるのだな、みたいなことを思った。
その日は美術館のあとでライブを聴きに行ったんだけど、そのライブでピアノを弾いてた人がブギウギのピアノを弾いていて、それを聴いたときに、このブギウギには奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人のからだの運動が刻み込まれているのだな、みたいなことを思った。アフリカでつかまってボコボコに殴られて狭い船の底にぎゅうぎゅう詰め込まれて、おしっこしたらしっぱなし、ウンコしたらしっぱなし、ゲロもしたらしっぱなしで、100人つれて来て3人生きていたらラッキーだ、みたいな感じでアメリカに連れてこられた人たちがブルーズとかブギウギとかをつくったわけだけど、そうやってアフリカからアメリカにつれてこられて強制労働させられていた人にしか動かせなかったからだの運動が、ブギウギには記録されているのじゃないか。ブギウギを始めて演奏した黒人の人は、まさか21世紀の日本で自分らが作った音楽が演奏されるなどということを思いもしなかったのだろうなと思う。ブギウギを始めて演奏した人のからだはもうなくなってしまったけど、その人が動かしたからだの運動は今でも運動し続けているのだな、それってある意味不老不死なのかもしれないな、みたいなことを考えていたら、あまりライブに集中できなかった。

ブギウギとはこうゆう感じの音楽です。

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藤子不二雄のまんがで人類がみんな吸血鬼になっちゃうまんががあったけど、豚インフルエンザのニュースをテレビで見てると、そのまんがを思い出す。