1〜7

1、アパートの上の階のおばちゃんが腕時計を落としたので拾って届けてあげたらおばちゃんはぼくに缶ビール六本と鮨を買って来てくれた。うまいうまい。

2、自転車にのって職場に行く途中、右側通行してくるスクーターの女の子にひかれそうになった。ぼくがひかれたら大変である。ぼくがひかれたらぼくをひいた女の子はぼくの代わりに作曲をしてくれるのか? ぼくの代わりに台本を書いてくれるのか? ぼくの代わりにS子さんとデートしてくれるのか? そういうわけにもいかないじゃないか。どうかぼくをひかないでください。
3、やっと父親の誕生日プレゼントを発送した。もう誕生日をふつかも過ぎているのだけれど。クロネコヤマトメール便で送ろうかと思ったのだけれども、「めんどくさいから」つって配達してもらえなかったら困るので郵便で送った。
4、だましだまし書き進んで来た台本がどうもいっこうにおもしろくならないので、全部捨てることにした。姉と弟の話を書きたかったのになぜか宇宙怪獣の話になってしまい、どうも軸になるものがあやふやで、ぶれぶれの台本になってしまっていた。このまま強引に宇宙怪獣の話に持って行くやりかたも考えられなくはないけど、そんなことしても誰も得をしない。そういうわけでまた最初から書き直す。
5、ことしの俺は夏休みが十日もある。そんなに休んだら時給が大幅に減ってしまって、ヒダッぺはまた家賃を滞納するんじゃないかと思われるかもしれないが、心配ご無用。今回の職場には有給休暇がついている。夏休みを十日休んでも給料はちゃんと出るのである。もう何年もお盆に群馬の両親の家に帰ったことがなかったけれども、今年はちゃんと帰れそうだ。
6、麻婆茄子に豆腐を入れて、さらにとろけるチーズをのせるという料理を考えた。とろとろの食感がむちゃむちゃうまい。今週の弁当はずっとこれである。
7、かきぬき
「一日働いて、一日遊ぶんじゃなくて、二日働いて十日遊ぶようにしたらいいんです。一日二千円ぐらい働いて、食パンとバターだけならそれぐらいもつでしょう。生活程度を下げてね、要するに貧乏になるということですね。そうするとね、胃の悪いとき絶食するとよくなるのと同じように、ほんとに貧乏になると世の中がきれいになって、人間の社会もよくなると思うんですよ。」
インドネシアかどこかでコンドームを日本へ注文したでしょう。何百万円分だか。人口がふえて困るから、産児制限するとかいって。あれはあんなことするより、レズビアンとかホモとかサドとか、マゾとかって、そういうのをうんと普及したらいいと思うね。(笑)そしたらまァ子供はふえないでしょう。(笑)コンドームなんか、あんなものはあてにならないしね。それにいちいちやるたびに銭がかかるわけだから。」
深沢七郎小田実『くらしの中の男二人』より。
みんな貧乏になったら公害とかもなくなって、それこそがすげえエコなのじゃないか。ロハスというのも食パンとバターで生活しましょうということなのではないか。そういうわけだからおれは自動車もクーラーも扇風機も洗濯機もお風呂も持たない。おれはロハスである。