これからは宅録の方向で

台風が通り過ぎてみると、なんだかもう風の感じが秋で、この空気のさらさら感は運動会を連想させる。ずいぶん秋らしくなったものだなと思い、ふとオートリピートで聴いていた『オン・ザ・コーナー』をとめてみると、実は蝉がひとつも鳴いていない。蝉が鳴いていないどころのさわぎではなくて、昼間から秋の虫がリーリーと鳴いている。蝉は死に絶えたのか、もう。

書き直しを繰り返している演劇の台本はだいたい終わりが見えて来た、と思うとこんどはそれを途中でほっぽり出して別のことをしたくなるのが僕の悪い癖で、しばらく別のことをしてまたもどってみると台本の続きが書けなくなっている、ということが今まで何度でもあった。
それで、今やりたくなっている別のことは音楽を作ることで、それは昨日立ち読みしたこの本

宅録~D.I.Y.ミュージック・ディスクガイド HOMEMADE MUSIC (P‐Vine BOOKs)

宅録~D.I.Y.ミュージック・ディスクガイド HOMEMADE MUSIC (P‐Vine BOOKs)

が、あんまりおもしろそうなので、衝動買いしてしまって、家に帰ってお風呂に入りながらぱらぱらとめくっていたらやっぱりおもしろくて、それで「ああ、俺も宅録でなんかつくりたいな」などと思ってしまったから。
毎週日曜日に妻からおこづかいをもらったら、本屋さんに走って行って本を買うのだ、ということは以前書いたと思うけど、こうやって毎週一冊ずつ本を買うということは、なにか投票でもしているようなものであることだな、と思う。「あなたの書くものを支持します!」みたいな感じで。百円の古本とかだと、あんまりそういう感じにはならない。
で、今週僕が支持するのは『宅録』。充実しているディスクガイドを読んでみるとあのCDもこのCDも聴いてみたくなる。そして世の中にはまだまだ俺の知らないことがいっぱいあるのだなと目を開かれるようだ。

ちょっと前まではもっとギターがうまくなりたいとか思っていたけど、もう、コードだけ弾ければいいや、という心境に今では変わっている。練習してうまくなる暇があればその時間を使って作曲をしようではないか。

あとは小説も書いてみようと思い、途中まで書いてみたのだけれどもぜんぜん場面がすすんでいかず、やっぱりこれも途中でほっぽりだしている。東京都日野市に住むおばさんが、甥のロックバンド「ジョーブ博士と下部構造」のライブをビデオで撮影することになり、甥のバンドと一緒に田舎で行われるロック・フェスに行き、ミュージシャンたちと合宿しながらいろいろおもしろいことをする、という筋を考えていたのだけれども、おばさんが新宿駅に到着するところまででもう60枚くらいになってしまい、ロック・フェスに行くどころの話ではなく、東京からでるころすらできない。もたもたと重たくてしょうがない。もっとパッパと場面が飛び移って行く話にしたいのだけれども、書いてみるとどうももたもたとしてしまう。いっそのこと、いきなりロック・フェスの会場にいるところから書き始めようかしら。

と書いていたら、どこかでミンミンゼミが鳴き出した! 関西にはミンミンゼミがいない、関ヶ原をこえられない、などという話を聞いたことがあるけれど、どうもあの蝉は関ヶ原をこえてやってきたらしい。しかしだいぶ遅れた。結婚相手はちゃんと見つかるのか。

と書いていたら、近所の幼稚園から「まるまるもりもり…」と『マルモのおきて』の歌が流れて来た。運動会か何かでお遊戯するのか。ちょっと前までは猫もしゃくしも『恋のマイアヒ』だったのに。月日が経つのははやいなあ。