noise-poitrine2012-08-27

 結婚してからときどき僕と妻は山登りに行くようになっていて、去年は愛宕山に登ったし、大文字山にも登ったし、新婚旅行で屋久島に行ったときに登山靴も買いそろえていたし、そうすると今度登るべきなのはやっぱし比叡山かしらね、というわけでこないだの日曜日、僕と妻は二人で比叡山に登ってきた。京都に引っ越して来てかれこれ10年になるけど、僕は初めて比叡山に登ったのだった。
 雲母橋を渡り、ちょっと道に迷い、雲母坂という名前は松田正隆さんの戯曲にあったけど、ここから名前がとられたのかしら、と思いながら雲母坂を登って行く。と書いてもどこからどこまでが雲母坂だったのか良くわからない。岩が水かなんかに削られて深い溝みたいになってるその溝の底を延々と登って行くあの坂がたぶん雲母坂だったのだろうなあと思うんだけど、この坂道が足下がでこぼこでものすごく歩きにくくて、この歩きにくさが何よりも気持ちいい。こんな気持ちいいことはなかなかないぜ、と大汗をかいて歩きながら思う。
 山の間に家や田んぼがあつまってるのが北の方に見えるけど、あれがベニシアさんの住んでいるという大原かしら。そしてその向こうは山また山で空までずっと山がもりもり続いている。という写真がこれ。

 初めての場所に行ったらまず高い所に登れ、といったのは宮本常一だったかしら。なるほど高い所に登ってみると、自分がどんな場所に住んでいるのか、ということが良くわかる気がする。そうかそうか、京都はこんなにも山だったのか。北の方なんかほとんど山ばかりじゃないか。あの山の向こうには日本海があるのか。もうちょっと右のほうにはもんじゅくんがいて、排気塔から煙をはいているのか。それとももんじゅくんは今、フェスティバルFUKUSHIMA! に行っていて留守なのか。
 街の方を見れば、御所や植物園が緑の四角でよく目立つそのあいだを賀茂川が緑の筋になり左右に伸びている。うちは植物園のもうちょっと北の方だからあの辺だなと、自分の家のあたりを見おろす。日曜日に山登りせず家でごろごろしているバージョンの我々夫婦がこちらを見上げているかもしれないと思い、そちらの我々に手をふってみたりして、