あまりに暑いので妻は日中実家に避難する。実家に行けばクーラーがある。おかあさんは妻の顔を見るなり、今年の暑さは千年に一度の暑さらしい、だからというわけでもないが赤ちゃんの名前は「千夏(ちか)」にしてはどうか、という。
「おばあちゃんの名前はなんで千夏っていうん?」
「おばあちゃんが生まれた夏はうんと暑い夏でね、千年に一度の暑さだったらしいんだよね」
「暑かった?」
「うーん、覚えてないけど、おばあちゃんのお母さんとかお父さんとかは暑かったんだろうね」
という将来の会話が何となく頭に浮かぶ。
月曜日は図書館に行く日。『稲荷の家』などを借りる。開かずの蔵があったり、草ぼうぼうの庭のどこかに稲荷があるらしいが家のものは誰一人それを見たことがなかったり、という『稲荷の家』の設定になんとなくワクワクする。
- 作者: 中脇初枝
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1997/10
- メディア: 単行本
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