帰省

群馬の両親の家に帰ったのはほぼ1年ぶり。

梅が満開だった。そこらじゅう梅のいい匂い。

もっと外を歩き回って群馬の空気を味わっておけばよかった、と京都に帰って来てから悔やむ。時間はあったはずなのに、自分が高校生のときに読んでいた本をひっくりかえして見たりしているうちに時間が経ってしまった感じ。

群馬に帰る前は、あれを見ておきたい、あれを食べておきたい、ということはいくつか思いつくのだけれど、振り返ってみると、見ることと食べることしか考えてなかったなあと反省する。近所を歩き回って子供の頃の自分が感じていたであろう春の暖かい日差しを感じて、鳥の声や竹やぶが風にさわさわと鳴る音や遠くを走る暴走族のバイクの音を聞き、梅の匂いをかぐ、ということをもっとやりたかったな、と今になって思う。たまに実家に帰ると、群馬の地酒を飲んでおこうとか、あそこの蕎麦を食べておこう、とか、山奥の限界集落を見に行ってみようとか、欲が出てしまって、ただ時間をすごす、ということがなかなかできない。

次に帰るときは散歩をメインにしたい。あるいは、娘がもうすこし大きくなったら、一緒に実家の周りを歩いてみる、というのもいいかもしれない。

3日帰ったうちの真ん中の日は父の運転するクルマで南牧村までドライブ。崖にへばりつくようにして家が建っているのをクルマの中から眺める。ものすごい急斜面に段々畑があるんだけど、段が水平じゃなくて斜めになっている。あんな斜面で何を育てているのか、こんにゃく芋か。

群馬に帰るといつも食べきれないほどおかずが出るのがありがたい。お腹のすく瞬間が一度もない。じっさい食べきれず、ずいぶん残した。いつもならばメインになる餃子や牛肉が脇役になっている。お刺身をずいぶん食べた。一番印象深かったのがとろろ。群馬で食べるとろろはかおりが違う気がする。

群馬には父方の祖母と母方の祖母と二人の祖母がいるんだけど、二人とも「俺なんか早く死みゃあいいんだけど、めた生きてるんだよ」というようなことを言う。わりと明るい感じで楽しそうに言う。90にもなると死ぬのが怖くなくなるのか。

父が、これがおもしれんだよ、とyoutubeで見せてくれた日本エレキテル連合