クーラーを買う

noise-poitrine2014-06-07

 毎朝五時に起きて戯曲を書く、という生活は結局1週間ほどしか続かなかった。娘はあいかわらず五時に目を覚ますが、しばらくポンポンとお腹のあたりを軽くたたいていればすぐにまた眠るので、そうすると私も一緒に二度寝をしてしまう。いや、娘のお腹をポンポンとたたいて寝かしつけるのは妻なのだ。妻は眠いのをがまんしてだいたい毎晩二、三度は泣きながら目を覚ます娘をあやして寝かしつける。私は隣のふとんでその気配だけを感じながら寝ているのだ。それにしても娘の寝ぞうの悪いこと。時計の針のようにぐるぐるとまわりながら眠るのだ。
土曜日の朝くらいは妻をゆっくりと寝かせてあげよう、と私は六時に娘を抱っこして賀茂川に散歩に行く。賀茂川は去年もこんなふうだったのか、一面にアオミドロが浮いている。今年は水が少ないのか。流れがよどんで沼のようだ。
 キャプテン・パニックが家に来たのは先々週だったか。生まれたばかりの赤ちゃんと、奥さんと、奥さんのお父さんも一緒に。私の家にあった赤ちゃん用の椅子をとりに来てくれたのだった。この椅子は妻の友人におふるをもらったのだったが、私の家ではほとんど使っていなかった。赤ちゃんはキャプテンにそっくりだった。キャプテンの赤ちゃんを抱く抱き方はいかにも手慣れていて、新米パパには見えない。お互い赤ちゃんを交換して抱いては、「おお、けっこう重い!」とか「か、か、軽い!」とか言い合う。
 先週の週末はアトリエ劇研に五反田団の怪談を聞きに行った。打ち上げで、前田さんは僕に「小説書いてる?」と聞かれる。いや、ちょっと書いては消し、書いては消しでちっとも書けないんだよ、と話すと、俺も初めはそうだった、読み返しちゃいけないんだ、読み返さずにどんどん書いて、ある程度書き進んでから読み返すようでなくちゃいけないんだ、書いてから1ヶ月くらいたってから読み返すと「俺けっこうおもしろいの書いてんじゃん」って思えるから、ブログみたいな感じで書いたらいいじゃん、と言われる。たしかこの会話は1年前に会ったときにもしたな。1年たってけっきょく俺は同じ場所で足踏みしてるばかりなんじゃないかしら。いや、もうちょっとで戯曲が書き終わるはずだから、そしたら今度こそ小説を。
 日曜日にクーラーを買いに行く。ビブレの電気屋で一番安いやつを買う。長年クーラーのない生活を続けてきたが、子供のために、と貯金をくずして買う。

 娘はつかまり立ちをしているとき、つかまるというよりは手をちょっとテーブルに添えているだけですよ、みたいな感じになってきていて、今にも立ちそうな様子。