いつか王子様が私を迎えに来るのよ

寒い時期には六畳のたたみの部屋にじゅうたんをしくことにしているのだけれども、そのじゅうたんがまだしきっぱなしにしてある。そろそろ暑くなってきて、足の裏にぐちゃぐちゃとじゅうたんが触れるのが不快になってきた。僕のアパートは湿気がこもりやすいつくりになっているのか、梅雨になるとじゅうたんが湿気を吸って、踏むたびにジュワッと汁がしみ出て来るほどである。キノコがはえて秋にはおいしいきのこ鍋ができるほどである。このままじゅうたんをしきっぱなしにしていてはせっかく出来た恋人にも逃げられかねない。そういうわけなので、今日はじゅうたんをはがす日にした。もう汁がでない。もうキノコもはえない。ああ、足の裏に触れる畳の感触の気持ちよさといったら!

   @@@

今日はノーバディーズの練習の日だった。今度のライブで新しく演奏する曲などは結構あぶない感じで、こんなあぶなっかしい演奏で大丈夫なのかしらとも思うのだけれども、そのあぶなっかしい感じこそがノーバディーズなのだ、と開き直ることにしようと思う。練習の後で久しぶりにノーバディーズのメンバーとお好み焼きを食べに行ったのだけれども、ドラマーの浅井君は演劇の稽古があるということでそっちに行ってしまい、お好み焼きには来れなかった。浅井君から演劇の稽古の話を聞いて、僕は始めて演劇をした時のことを思い出した。演劇を始めた頃は毎日楽しみに稽古に行き、始めての体験にわくわくしながら一生懸命お芝居をしていたのだったな。あの頃のわくわくした感じは少しずつ薄れてどこかに消えてしまって、もう僕はながいこと演劇から遠ざかっているような気がする。
あ、そういえばスタジオの料金を払い忘れてた。また今度払います。ごめん。

   @@@

つちだるまの二人と一緒に作曲をしたということを昨日書いた。三人で一行ずつ歌を書いて行ったのだけれども、つちだるまのおっちゃんはとにかくおしゃれなコードを使う人で、僕などは普通にCとGとかで作っているのに、そこにおっちゃんはいきなりB♭の9thだか13thだかという、そういうおしゃれなコードを持って来て、キーがCの曲のはずだったのに急にB♭に転調してしまう。それが全然違和感のない自然な転調なので、僕は内心たいしたものだなあと舌を巻いていたのだった。3人でぐるぐると交代して曲をつくっているうちに、最後はいつの間にかGで終わるという曲になっていて、どこかでGに転調したのか、それとも転調とかしてないでただGで終わっただけなのか、そもそも調があったのか、もう僕には全然わからない。たぶんキーとか調とか、そういうことにこだわらないことが、21世紀に音楽を作って行く人たちに必要とされることなんじゃないかな、とか考えた。
おっちゃんは、この曲を演奏するときにコードを弾く楽器がもうひとつくらいあったほうが良いかもしれない、みたいなことを言っていたのだけれども、僕はB♭のおしゃれなテンション・コードが良くわからないので、「いや、ギター一本で歌うくらいのシンプルさがこの曲にはあっているんじゃないかな」みたいなことを言ってお茶を濁したのだった。ごめん、おっちゃん。

   @@@

今日の練習の帰り道、四条烏丸に新しく出来た大垣書店に行ってみた。なんだかビジネスマン向けみたいな感じの品揃えで、あんまし読みたくなるような本が目に入らなかったので、すぐに出てしまった。

   @@@

職場の人に借りたレッド・ゼッペリンのDVDがすごい! デビューしたばかりのころの映像で、どこかの大学の教室に学生を集めて演奏を聴かせている。学生は床に三角坐りで座ってじっと音楽を聴いている。20歳くらいのロバート・プラントは金髪でハンサムで、あの人こそが私の王子様に違いない。白馬に乗って私を迎えに来てくれるのだ。それにしてもデビューしたばかりのレッド・ゼッペリンはみんなものすごいハンサムで、ためいきがでる。

下を向いて一心にテレキャスのギターを弾いているのは「できるかな」に出演する前の若い頃のノッポさんです。

   @@@

イリーナ・メジューエワさんの演奏するモーツァルトの「自動オルガンのためのアンダンテ」がすごい! めちゃくちゃきれいで、うっとりしすぎてため息が出る。暑苦しい梅雨に聴くのにもってこいの音楽ではあるまいか。アマゾンのリンクをつけておこうと思って検索したら、もう売り切れみたい。いいCDなのに残念だなあ。