流行はむしろ

かきぬき
「古田の妻などは、岐阜弁というものがレッキとしたものだということを信じようとしない。伊吹山関ヶ原の位置と同じことだ。ついうっかり岐阜弁をつかってしまう夫を見て、外国人がそこに現れたような顔つきになる。そのくせ岐阜の人間が東京と同じ服装をしているどころか、東京以上に新流行を追っているのを見て、絶望する。咎めるのではない。流行の伝播の速さにおどろき、東京と田舎との差がないということに、生甲斐を失うらしいのだ。古田は、そのとき岐阜人に代って説明してやる。流行はむしろ岐阜から発しているのだと。」
小島信夫『美濃』


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昨日にひき続きブルガリアの合唱