テレビばかり見てしまう

昨日はずっとテレビを見ていた。こんなたいへんなことが起こってしまったからには、テレビをつけっぱなしにして地震の被害の情報を常に追いかけるのが国民の義務なんじゃないかしら、というような気持ちになぜか僕はなってしまっていて、仙台や福島や東北に住んでいる人たちが大変な思いをしている時に、こたつでのほほんと読書なんかするのは不謹慎なのじゃないかしらとか、そんな雰囲気についつい僕はなってしまっていて、それでずっとテレビを観ていたのだけれども、僕が京都の家でテレビを見ていても、結局は僕の頭の中に情報が記録されて行くだけで、つまりは僕がいっぱい情報を集めて満足するだけなのじゃないか、と思うようになった。なので、今日はテレビをなるべく見ないで過ごそうと思う。テレビで情報を仕入れてハラハラドキドキしているよりも、あんまり電気を使わずに静かに本でも読んでいた方が実はいいのではないか。

昨日は夕方から彼女の家に行き、婚姻届の証人の欄にサインをもらって来た。その後、彼女のお父さんとちょっと一杯飲みに行こうということになり、お父さんと僕と彼女の三人で天ぷら屋さんに行った。お父さんは若い頃文学青年だったという。漱石の書いたものは日記から書簡から全部読んだという話だとか、漱石の『坊ちゃん』か何かを丸ごとノートに書き写した話だとか、宮沢賢治の「雨にも負けず」は実は法華経の・・・という話だとか、トルストイの『アンナ・カレーニナ』なんて読んだら、すごすぎて自分には小説なんて書けへんなって思ってしまう。だから「こいつヘタやなぁ」というような小説をたまには読んで、「これなら俺のほうがましや」と思ったりするのも大事や、という話だとか、国会議員だった田中正造は死ぬときにはずたぶくろに石ころと聖書一冊いれてただけやった、という話だとかを聞かせてもらった。彼女の話では、お父さんは話がくどすぎて、家では誰も話を聞いてくれる人がいないのだというような話だけど、いや、でも、おもしろかったです。

明日は病院で血液検査を受ける。なんでも僕は白血球が人より少ないらしく、こないだ定期検診を受けたときに、今度精密検査を受けに来てくださいと言われてしまったのだった。