ふつか酔いで乙女チック・ポエムを

こないだの金曜日の夜、東京在住のA井君とJ子ちゃんがうちに遊びにきた。夜の9時ころからビールを飲み始めて、朝方には和知からSちゃんも飲みに来て、A井くんがおみやげでもってきてくれた「さゆりの泪」という焼酎を「のみやすいね、これのみやすい」といいながらひとびんあけてしまい、外が明るくなる頃になってやっと寝た。といっても、私の家内とJ子ちゃんは早めに寝てしまっていて、だから男ばかりで演劇の話とかおもしろい話とかくだらない話とか馬鹿っぽい話とかエロい話とかをしたはずなんだけど、あんまりおぼえていない。J子ちゃんはこないだまで演劇の公演でフランスに行ってて、それでお土産にクレヨンとかをくれた。フランスまで進出するとは、けっこうほんとに大女優なのね、とか思って話をきいてみれば、フランス人のつくる演劇はあんまりおもしろくなかったようで、がっかりっぽい。でも、そうやって外国の演劇を体験して「ここがだめ」といろいろだめだしできるということは、それだけの眼があるということで、やっぱし大女優なのだな。A井くんは先週くらいに公演をして、それでけっこう赤字になったとかいう話で、東京で演劇を続けて行くことの大変さを思う。SちゃんはAちゃんともとにもどったよ、という話。
翌日は二日酔いでげーげーいいながら女房とふたりで登山靴を買いに行った。バスが気持ち悪いので出町柳で降りて四条まで歩く。鴨川を歩く。鴨川の景色をいろいろ見る。亀石をわたる子どもとか若者とか。どこかで和風の笛の練習をする音。オムツみたいなパンツいっちょうでジョギングをする真っ黒に日焼けしたソクシンブツのようなおじいさん。シロツメクサ。蝶々。エリック・クラプトンにそっくりの外人さんが上半身はだかで、イヤホンで音楽をききつつスティクをもって、太ったお腹をタプタプいわせながらエアー・ドラムをたたいている。川の対岸では百人くらいの若者がよさこいを踊っている。川の流れは川上に逆流しているように見えたり、真横に流れていたり。大きな形のいい木の下で読書している(あるいはおにぎり食べている)人。いい天気で、ときどき風がふく。そんないろんなものを見ながらあるくと、「ゆたかだな」と思う。ゆたかというのは、いろんな要素が同時にいっぱいあって飽きない、という意味。これらの景色をみながら、ワイフと「乙女チック・ポエム」ごっこをして歩くが、なかなか「乙女チック・ポエム」がうかばない。
妻とは、こんど9月に結婚記念旅行で屋久島に行く。ので、そのための登山靴。を売ってくれた店員さんは大学生で、写真部の合宿で9月に屋久島に行くという。ので、屋久島でまた会いましょうといってにっこりと微笑むその歯の白さ。のさわやかさ。
「人生まだまだこれからって感じだね」
と、かみさんといいあう。