週末


金曜日、うちのかみさんと一緒に上賀茂神社に蛍を見に行った。上賀茂神社はうちのすぐそばにあるので、晩ご飯がすんでから下駄をつっかけて手ぶらでとことこ歩いていった。神社の脇を流れる小川の上に蛍がちらほらと飛ぶ、というか、ただよう、というか、シューッと光が流れる。流れる光はくるくると円を描き、緑のような白のような光の線が尾を引く。蛍が葉っぱにとまると光は膨張し、緑色が少し濃くなり、それからまた光がちいさくなって。足下の川の水は真っ黒で、じっと音をきいていると上流の水の音と下流の水の音とが左右からバラバラに、それぞれ勝手に耳に入って来る。そんな音を聞きながら蛍を見てから帰り道に自動販売機でファンタの蜂蜜レモン味を買って鴨川の土手に座り、対岸を通る車のヘッドライトにときどき木の幹が照らされるのを見ながらぼーっとして時間を過ごした。
土曜日、結婚写真の予約をするために、うちのかみさんとうちのかみさんのお母さんと三人で五条の写真屋さんに行った。かみさんは白無垢やウエディング・ドレスやらをいろいろと試してみて、それを見ながらぼくたちは「なかなか、いいねえ」「馬子にも衣装やな」「まるであんみつ姫のようだ」「ここのひらひらが」「うーん、まあ、」「なんかお風呂上がりの人みたい」などと好き勝手なことを言い合い、それからおかあさんにお昼ご飯をごちそうになった。
日曜日、うちのかみさんとうちのかみさんのお母さんとうちのかみさんの弟さんと四人で滋賀県の「アウトレット」というところに行った。二階建ての大きな建物に「無印良品」だの「ナイキ」だの「エーグル」だのいろんなお店が入っていて、ものすごい人ごみ。なぜだかぼくは中学生のときに一度行ったディズニーランドを思い出していた。ここでもお昼をごちそうになる。そしてぼくはひどく眠くなり、みんなが買い物をしている間、トイレの前のベンチで口を開けて居眠りをしていた。帰りの車の中でも居眠りを続けた。ご飯をごちそうしてもらい、ほぼ居眠りに明け暮れて、車酔いの心配までされて、「なんや、頼りない人やなあ」と思われたのではあるまいか。