あやうくあわびを買いそうに

 別荘に移住してから1週間。門扉に大きな蜘蛛が巣をかけた。あまりにも立派なので壊すのが惜しく、そのままにしてある。

 図書館に予約をしていたアフリカ音楽のCDの順番がやっと回って来た。5ヶ月もかかった。で、聞いてみたらあんまし音楽は入っていなくて、ほとんど小泉文夫さんがしゃべっている。それでは少し聴いてみましょう、とたまに音楽がかかるのだけど、ほんとにちょっとだけ。
 小泉さんの話でおもしろかったのが、親指ピアノはアフリカの人の自動車だ、という話。アフリカの人は遠くの村まで歩いて行くのにカリンバを持って行く。ただ歩くだけだと退屈しちゃうので、歩きながらカリンバを鳴らして行く。そうすると退屈せずに遠くの村まで歩けちゃうのだそうだ。それのどこがクルマなの? とかやぼなことを言ってはいけない

 昨日の夜、散歩ついでに近所のエムジーに行ったらあわびの刺身が1200円のところを半額の600円で売られていた。おこづかいで買うのならば買ってもいい、と妻に言われて危うく買ってしまいそうになるが思いとどまった。隣にかつおの刺身がやはり半額の240円で置いてある。アワビをがまんしたのだからかつおぐらい買っても良いじゃないか、これくらいの値段ならば食費から出してもらえるでしょう? とこちらも危うく買いそうになるのだが、はっ、俺はこんな所で一体何を買おうとしているのか、さっき晩ご飯を食べたばかりじゃないか、と我にかえり思いとどまったのだった。

 昨日は金曜ロードショーで『天空の城 ラピュタ』を見たのだった。良くできた映画だなあ。不安定から安定へ(たとえば空から落ちて来た女の子を抱きかかえたら急に重たくなって下に落としそうになるんだけど、がんばって落とさずに安全な場所に寝かせるとか)、というこの繰り返しは、音楽で言ったらドミナントからトニックへ進行するあの気持ち良さに通じるものがあるのかもしれまい。
 それからぶっ壊すとなると徹底的にぶっ壊す、というのが気持ちいいのだろうな。列車のレールも、軍隊の要塞も、ラピュタもぶっ壊すときには木っ端みじんにぶっ壊してしまう。これは音楽で言ったらギターを床に叩き付けて木っ端みじんにぶっ壊しちゃう、みたいなのと通じるものが、
 いや、べつに音楽で言わなくてもいいんだけど。