仕事を終えて家に帰ってみると、新しい家族がひとり増えていたのだった。家で見るとさらにちっちゃく見える! こんなにちっちゃい人を家に連れて来てしまっていいのかしら、病院から連れ出して畳の上に転がしておいて大丈夫なのかしら、と戸惑うほど。
 いくら見ていても見飽きない。ので、なかなかお風呂に入れない。寝顔もかわいいし、目がさめそうになったときにもバタバタと手足を動かすのもかわいい、おっぱいを飲んだあとでぐったりと疲れる様子もかわいい、ぴくっと口の端を持ち上げて笑うような顔になるのもかわいい。
 娘をみていると、弟や妹が幼かったころの顔が浮かんでくるようだ。そんな顔ずっと忘れていたんだけど。「あれ? のんのん、こんなところでなに寝てんだ」と弟の子供のころのニックネームを呼びかけそうになる。
 仕事をしていても、バイクに乗っていても、家事をしていても、なんか楽しくて明るい気分だ。そうか、人生最良の日々というのは、なにも子供がかわいいというだけのことじゃないんだな。子供が生まれたいまとなっては、人生が全般的にパーッと明るくなったようだ。