胃腸風邪

noise-poitrine2014-05-13

 発疹と発熱のため二週間ほども寝たり起きたりの生活が続いていたが、土日あたりから熱もひき、からだもだいぶ楽になり、月曜日に医者にきいてみたらもう人にうつることもないでしょう、と言われたため、妻の実家に避難していた妻子が月曜日からやっと家に戻ってきた。しかし、今度は娘の体調があまり良くないようなのだ。日曜日に発熱があり、下痢をしたため、妻の実家からタクシーで病院に行ったのだという。月曜日は娘は保育園を休み、妻も仕事を休み、また別の病院に行って薬をもらって来た。
 保育園では胃腸風邪がはやっているらしい。みんなで同じおもちゃをしゃぶりあっているのだから、全員が同じ菌に感染してしまう。今日は私が娘を迎えに保育園に行ったのだが、保育士のOさんは娘を私に渡しながら、下痢だけでなく嘔吐をする子もいるのですよ、しかしあなたの娘さんはまだ下痢だけですんでいますよ、といかにも疲れた顔でいうのだった。俺の娘は頑丈だからな、この調子で下痢だけですんでしまうのだろう、そう思いながら家に帰って離乳食と粉ミルクをあたえると、マーライオンのような見事な嘔吐。
 四月から隣組の組長になってしまい、今日も離乳食の前にとなり近所に配りものをして歩いたのだった。「がんセット検診のご案内」などという配りものを持ってうろうろと近所を歩き、その後娘の食事、嘔吐の片付け、自分たちの食事、服や布おむつの洗濯、お風呂、お風呂のあとで洗濯物の室内干し、明日の保育園の用意、などの家事を妻と半分ずつ分担してやっつけて、すべて終わると10時すぎ。なんだか日曜日までの孤独と静寂が夢のよう。一人で寝込んでいたときは一日があんなにも長かったのに、今では一日はあっという間に終わってしまう。
 ところで、月曜日にひさしぶりに娘と顔をあわせたとき、娘は私のことが分からないようで、だれですか、この知らないおじさんは、ときょとんとした顔で私を見上げたのだった。タカイタカイなどをするうちにだんだん笑顔を見せるようになったが、今日、私が保育園に迎えに行くと娘は、どうして私はこの知らないおじさんに抱っこされて連れ出されなくちゃならないんですかね? とむすっとした顔で保育士のOさんのほうをふりむくのだ。私の本当の父は私が生後8ヶ月のときにどこかに行ってしまい、10日ほどしてから別の男の人が私の父の振りをして私の家庭に入り込んでしまったのだ、とそんなおかしな記憶が娘の頭の中につくられてしまわないか、と心配になる。子供のころ、私は母が美容院から帰ってくると別人のようになっているのが不安でしょうがなかった。髪を切って少しパーマなどかけてみたりしているあの女の人は本当に小一時間前に私を置いて出て行った私の母なのか? ぜんぜん違う女の人がさもあなたの母ですよ、という顔をして私のところに帰って来たのではないか? そんな心配は夜になればほとんど消えてなくなっているのだったが、でも頭のすみっこで「気をつけろ、あの人は私の母ではないかもしれないぞ」と思い続けていた、そんな記憶がよみがえる。
 四月に入ってから、なんだか保育園関係のことでばたばたしたり、風邪がずっと治らないと思っていたら伝染病だったりで、次回公演の戯曲「わたし今めまいしたわ(仮題)」をずっとほったらかしにしてあるのだった。伝染病も治って来たし、そろそろ再開したい、そう思いつつ気がつけばダラダラとブログを書いてしまい、もう寝る時間になっているのだった。
 ところで十日ほども会わないうちに娘には上の歯がはえ始めていた。ちょとスキッ歯ぎみだが、乳歯だからまあいいのだろう。