植物園

 夏の日のように晴れた。
 午前中に少し家のかたづけをして、お昼にマルちゃん正麺のうどんを食べる。家族そろって食べるとインスタントでもなんでもおいしいものなのだな、と妻と言いあう。娘はこたつ(うちではまだこたつをかたづけていない)の天板に手をついて、首をかしげてうどんを食べる私たちを見てくる。昨日あたりから突然この仕草が始まったのだが、いったいどこで覚えて来たのか。妻の実家で誰かに教わったのだろうか。
 午後、娘のヌード写真を撮る。気がついてみれば背中の蒙古斑がだいぶ薄くなっていた。消えてしまう前に写真に残すことができた。
 写真撮影のあとで賀茂川を歩いて植物園に行く。川の土手にはえている草はいつの間にこんなに伸びたのか、かなりの長さというか量に成長していて、緑の色もだいぶ濃い。頭上の桜の木を見れば、黄緑色の新緑はいつの間にか姿を消し、ビリジアンの濃い色が目だつようになっている。
 妻は調べものをするために植物園の隣の府立資料館へ行く。ので、私は娘とふたりで植物園に入り、娘はベビーカーで眠ってしまっていたので、中央広場の木陰のベンチで小一時間ほど本を読む。そのうちに調べものを終えた妻が合流し、家から持って来たコーヒーを飲みながらマフィンを食べた。マフィンは妻の弟が母の日に妻に贈ってくれたもの。弟はおりにふれていろんなおいしい物を贈ってくれる。
 妻は府立資料館に子乗せ自転車について調べに行ったのだったが、どうやって調べたのか、

焦る! 辻井さん

焦る! 辻井さん

このマンガがおもしろそう、という情報を得て戻って来た。
 娘が目を覚ますとお茶を飲ませ、写真撮影をしたのだが、なぜか娘は終始つまらなそうにしている。タカイタカイをすればたいてい笑顔を見せる娘なのだが、今日はいくらタカイタカイをしてもむっつりと口をへの字にしてカメラを見ているばかりだった。
 日陰を選んでぶらぶらと歩き、帰り際に芍薬園のわきを通ると弟の妻のともちゃんに「お兄ちゃん」と声をかけられた。ちょろちょろと走って来た甥はまた少し背が伸びたようだった。口をひらけばクレヨンしんちゃんそっくりの声としゃべり方で、なんだか私の知っている甥とは違う少年に出会ったような気がして、ちょっととまどう。
 植物園の帰りに本屋に寄り、『焦る!辻井さん』を探すが、売っておらず、ではまた後日アマゾンにでも注文するか、ということになる。
 生鮮館で買い物をして帰る。今日の晩ご飯のおかずはキュウリとちくわのからしマヨネーズあえ、蒸し鶏のぴりから葱ソース、納豆。娘の機嫌はすっかりなおっていて、首をかしげては納豆ご飯を食べる私の目をのぞき込み、すきッ歯を見せて笑いかけてくる。