久しぶりにゆっくりとマンガを読んだ

 金曜日の夜、寺田君の新居でカレー鍋。僕はインフルエンザの予防注射とか、娘と一緒にカレーうどんを食べる都合などで遅刻し、9時から参加。Jの新しい職場に朝青龍にそっくりな女の人がいる、という話などする。ビートルズの「ユウ・ノウ・マイ・ネーム」の最後に入っているサックスはブライアン・ジョーンズが吹いているんだ、という話などする。帰りぎわ、寺田君が奥の部屋でごそごそやってると思ったら、マンガを持って出て来て僕に貸してくれる。

 原作はホドロフスキーだという。こないだみなみ会舘でやってたホドロフスキーの映画を僕は観に行きたかったんだけど、ぼーっとしてるうちに終わってしまったんだった。
 土曜日、娘の保育園の生活発表会。生活発表会なんていう地味な名前だから油断していたのだけど、これはいわゆる学芸会というか文化祭というか、そう言う感じの発表会的な会だった。いや、良く見れば生活発表会、とちゃんと発表会って書いてあったんだけど。でも、生活発表会という名前からは合唱とか演劇とかが浮かんで来なかった。「おおきなかぶ」の演劇。演劇の中で、がんばってものごとを達成したあとに保育園の先生が口にしたことばは「ああ、おなかがすいた」だった。おなかがすいた、って、なんて明るく健康的で前向きな言葉なんだろうか。ああ、疲れた、とか言うよりもぜんぜんいい。娘の組は名前を呼ばれて「はーい」と手を上げる、太鼓で遊ぶ、などの発表。観客の多さに圧倒されたのか、名前を呼ばれて手を上げる発表の間、娘は口に手を当てて中腰になったまま固まっていたのだった。
 午後、妻と娘は妻の友達の誕生日会へ行く。僕は近所の商店街に出かけて書店で雑誌を買い、餃子の王将でチャーハンとラーメン。その後コーヒー屋で夕方まで雑誌と『アンカル』を読んで過ごす。久しぶりにゆっくりと一人の時間を過ごしたな、という気がする。この商店街の存在を僕はこれまであんまり重視していなかったというか、商店街を活用するぞ、という気持ちをまったく持っていなかったんだけど、実はここでかなり充実した時間を過ごすことができるんじゃないか、ということに気づく。商店街の入り口にある小さな書店は雑誌がいろいろそろっているし、岩波文庫もけっこう置いてるし、じっくりと棚をみてるとあれこれいろいろ本を読みたくなる。娘がもうちょっと大きくなったらこの書店でコバルト文庫とか買うことになるんだろうな。それまでにこの書店がつぶれてしまっては困る。アマゾンでばかり本を買っていたのでは地元の書店にお金が回っていかない。なので、次からは欲しい本はこの書店で取り寄せてもらって買うことにしよう。
 寺田君に借りた『アンカル』はSFのマンガだった。僕はSFがとても好きだ。あんまりたくさんは読んでないんだけど好きだ。宇宙人が出て来るのとかよりもサイバーパンクっぽいのが好きだ。『アンカル』は情報がぎゅうぎゅうづめという感じで、コーヒー屋でがんばったけどちょっとしか読めなかった。しかしなんだがすごく刺激を受けて、俺も戯曲をちゃんとしあげなければ、と奮起する。
 日曜日、妻は娘を連れて実家へ年賀状づくりに行く。僕はプリントアウトした戯曲を持ってコーヒー屋へ。3時間くらいがんばって台本の頭から終わりまで赤ペンで推敲する。いつも戯曲をひとつ書くと、この戯曲を超える戯曲を書くのはそうとう大変だろうな、と思うのだけど、それでも次に書く戯曲は、どうにかこうにか前作よりはちょっとだけ良いできばえになっているもので、今回の「わたし今めまいしたわ」も前作の「はだしのこどもはにわとりだ」よりはちょっとだけましな戯曲になったんじゃないかなー、と思う。今回の戯曲はSF。未来の話。というか未来から見た過去の話。上演は来年の6月12日から14日。いつものように東京の劇団「甘もの会」が東京で上演してくれる。