宝ケ池

 自転車で宝が池へ。新緑の季節なのだからなるべく緑のいっぱいありそうなところへ行こう、と去年も今の時期に宝ヶ池に行ったのだった、ゴールデンウィークの恒例行事になりつつある。出発前に「お昼はなにを食べようか」と話していると、なんとなく寿司が食べたいね、という話になり、今回は弁当を持って行かない。池のまわりをぐるりと回り、貸しボートに乗る。娘はボートを怖がるかもしれない、と思っていたが、割と平気だった、余裕でハンドルをぐるぐる回していた。30分千円。
 池のほとりで鯉を見る。パクパク大きな口を開ける鯉を娘はいつまででも見たがる。鯉なんかをそんなに長時間見続けるなんて、子供ができるまではそんなことしなかった。子供ができると自分ももう一度子供の時間を生きなおすようだ。子供にとっては一つ一つの出来事がじっくりと時間をかけてゆっくりと身体に染み込んで行く。絵本を読むのもテレビを見るのも何度もくりかえして、ひとつのことに膨大な時間をかけてそれはからだにゆっくり染み込ませる。自分のからだが自分が来る前から存在していた絵本なり鯉なりに向かってなじませていく、という感じか。
 「ととざ」で寿司。生のエビがぷりぷり、タコわさびがこりこりと大きい、赤貝にはちゃんと味がある、適当な寿司を腹いっぱい食べるよりも、うまい寿司を少しだけ食べる方が満足度が大きいのかもしれない。うまい寿司、と言ってもせいぜい一皿数百円の回転ずしなのだが。
 公園で滑り台。滑り台を滑るのが本当に楽しそう。身体を動かすことの喜びが娘のからだから空中にバーッと発散されている。娘は生きることのよろこびとは運動することだ、池のまわりを走るのも本当にうれしそうだった。