１９９６年９月４日（木）
夕方
朝８時すぎに起きて、めしくう。食券をなくしちゃったのだけれど、おねえさんは親切にまたくれた。ここのめしはあまりうまくなかったけれど、コーヒーもまずかった。
１０時前に出て、駅まで歩こうと思う。バスから見てたら、そんなに距離はなさそうに感じたからだ。でも、これがけっこう長かった。４、５０分かかった。おかげで、１０時２３分のストラットフォード行きの列車に乗れず、１２時１８分まで待たねばならなくなった。駅にはYHにいた日本人のカップルがいた。男は金髪。
時間をつぶすために古本屋に行った。何もみつからなかった。別に何も探してなかったのだけれど。
そののちそこらの駄菓子屋でペプシの５００mlを６０ペンスで買う。ちなみにSUAまで２千円くらい。
駅に戻ってフィッツジェラルドを読む。カップルはまだいた。ひょっとしてSUAまで行くのでは、と思う。そしてそれは的中する。列車で本を読んだりサージェント・ペパーを聞いたりして暇をつぶす。約１時間かかりSUAについたのは１時半くらいだった。
最近ろくな観光をしていないので、ここでは観光らしい観光をしようと思う。そしてまずマクダナルズに行き、ハンバーガーを二つ食う。それからシェイクスピアの生家に向かう。７百円くらいしたと思う。シェイクスピアの人生のコーナーは人がいっぱい並んでいたので、先に生家の方をみる。ただの古い家だ。でも、キッチンにいた係のおばさんが、地下貯蔵庫のことだとか、赤ん坊歩行機のことだとかを教えてくれる。こういうのは良い。逆に、こういうのがなければ、こんなのはただの古い家見物に終わってしまう。
そして、前のコーナーに戻る。小さな女の子がうろちょろしていて、かわいい。僕はこういったものを見ていて、僕が有名になった時のことを想像する。僕の使ってた教科書や、ベースなんかを展示して、人々がそれを見に来るところを。でも、どうあがいてもシェイクスピアみたいに有名になんかなれないよ。
その後、SRCの前を通って、墓がいっぱい並んでいる教会へ来る。ここにどうやらシェイクスピアの墓があるらしいのだけれど、よくわからない。墓地の前のベンチに、ひとりぽつんと座っているさみしそうなおじさんの写真をとった。
２人連れの日本人の女の子が教会から僕の前を歩いていて、困った。女の子は好きなのだけれど、けっこう近よりがたいもので困る。この時も抜かしたかったのだけれど、無視するのもなんだし、かと言って話しかけるわけにも行かないし、のろのろうしろをついてった。でも、曲がり角で別れる。
シェイクスピアの奥さんの生家まで歩って行く。ここはスウィンドンの住宅地よりもずっと良いところで、女子校があって、女の子がちらほらいた。
ハザウェイコテージに近づくと、前をアジア系の女の人が歩いている。彼女は教会にもいた。この人を追い抜き中へ入り、疲れたので庭のベンチに座っていると、この女の人が僕に、英語で、写真を撮ってくれと言ったので撮った。
ここも、なんつうこともないただの家である。でも、またおばさんが話してくれて良い気分になる。
古い家や古い本や古い絵を見て、おばさんの話を聞いていると、もっと英語に触れたいと思うようになる。僕は割と中世が好きである。重い甲冑を着て戦争をしたり、ペストでいっぱい死んじゃったり、変な迷信を信じてたり、ごちゃごちゃした家を建てたり、そう言った人々が好きだ。そして、そう言った人々が話してた言葉や、残した本に触れてみたいと思う。で、英語をもっと理解したいな、と思うのだ。もちろんフランスやドイツでも同じように中世の暮らしがあった。ジャンヌダルクはフランス人である。でも、なんとなく、僕にとっての中世は英語なのである。でも、ドイツ語も学んだ方がいいだろうな。モーツァルトはドイツ語人だし。でも、アメリカの開拓時代も好きなんだよな。でも、とにかく、せっかく英国にいるのだから、もっと英国に触れるべきであろう。
街に戻り、腹へってたのでレストランに入る。ステーキ・アンド・なんとかパイ・アンド・チップスをくう。僕はステーキと、パイを想像してたのだけれど、これはステーキの入ったパイだった。小さな肉の角切りと、魚の内臓みたいな茶色いものが入ったパイ。そして大量のフライドポテト。もうじゃがいもはいいっつうのに、と思う。パイは気持ち悪くてちょっと残した。口直しにソフトクリームを食べた。もう何年もソフトクリームを食べてない。中学校以来じゃないかと思うのだけれど、それはないだろう。でも、大学に入ってからは食ってないよ。
ぶらぶらしてバスでYHへ。ぶらぶら入った本屋で「WARとPEACE」が９９pで売ってた。驚いた。しかも、一冊にまとまってた。五cmくらいも厚い、字の細かいペーパーバック。
YHのシャワーはあったかい湯が出なんだ。
今テレビでバッキンガム映ってるけど、こないだのBBCなのか。
