長谷川町子展

 京都駅の伊勢丹長谷川町子展。やっぱし原画の情報量はすごい。黒で塗った上から白インクで線を書いたり、ボツにしたいところに紙を貼ってその上から新しく絵を描いてたり、絵が平面じゃなくてでこぼこしている。印刷されたマンガはのっぺりとたいらな面だけど、もともとはたいらなものじゃなくてでこぼこしている。こないだみたモネの絵も油絵の具がでこぼこと盛り上がっていた。
 サザエさんにそれほど興味がなかったが、がぜんファンになる。帰りに長谷川町子の対談とか随筆とかがのっている文庫本を買う。
 烏丸御池のパン屋で昼食。ヨーガン・レールの作品を見に行く。ヨーガンさんが海でひろってきたゴミを組み合わせてつくった照明が展示されている。ヨーガンさんが書いた文章を読むと海岸がゴミだらけで絶望している、人類がこれほどたくさんのゴミを出していることをアピールしたくて作品をつくった、と書いてある。が、いろとりどりのプラスチックのごみで作られた作品をみてるとこれをつくるのは楽しそうだな、と思ってしまう。ゴミ拾いが宝探しみたいな楽しいものになりそうだと想像するが、本人はやっぱり悲しんでたり憤りを感じてたり厭な気持になりながらこれを作っていたのだろうか。

 三条の大垣書店に行く。何年ぶりか。娘は音の出る絵本に夢中になる。が、買わない。買い物は投票だ、それを作った人やそれを売る人に「私はあなたを支持する」と意思を表明するのが買い物だ、というのが近頃の我が家の考え方なので、買わない。
 北山で地下鉄を降りて植物園へ。どこかで風船を売っているらしく、すれ違う子供たちが銀色の、大きめな、アンパンマンプリキュアの絵がプリントしてある風船を持っている、娘が欲しがる。が、買わない。「もっとお姉さんになったら買うの?」お姉さんになっても買わない、風船なら赤や青のゴム風船にお父ちゃんが息を吹き込んでふくらましてやるからな。