イギリス旅行6日目

1997年9月2日(火)

午前9時10分

 昨日はストーンヘンジに行った。思ったよりもこじんまりしてた。そばに寄れなかったからだろうか。寒かった。ガイドの機械から聞こえてくる解説は、下手くそでおもしろかった。冗談を棒読みみたいに言ったりして、しかもその冗談が寒い。カンタベリーのYHで見た日本人がいた。
 岩よりも、周りのだだっぴろさに感心した。こんな原っぱにこれはあったんだなあと。もうちょっと開けてるかと思ってたのだけれど。
 ところで今、僕はバースに向かう列車の中でこれを書いている。もっと西の方に行こうと思ってたのだけれど、排気ガスくさいソールズベリーの町を歩いてたら、これ以上向こうに行くことも、別にないかなと思い、北上することにした。切符を往復で買えば良かった。ストヘンのためだけに8千円ほど払った計算である。俺は何をやっているんだ。
 ストヘンから町に戻り、教会に行く。聖歌隊みたいな人々が歌をうたってた。僕はこういう歌が大好きだ。いっぱいの声でハモったりするやつ。
 YHに帰る。同室の日本人には会釈をしただけ。めしくってからまた町に出る。水を買おうと思ったのだけど、まとめ売りしかなかったのでりんごを買ってかじりながら町を歩く。すると2人連れの少年が金を渡すからタバコ買って来てくれと言った。断った。
 YHに戻り、西に行くか北に行くか検討する。ダートムーアを歩くことに決めて寝る。
 朝おきてめしくう。同室の日本人が来て一緒に食う。向こうから話しかけてきた。僕はどうも自分から行けない。でも、来てほしいといつも思っているんだ。その後女の子が来て3人になる。
 めしくってYH出る。やっぱり北へ行くことにして駅まで行く。ちょうど電車があり、乗る。不毛なソールズベリー旅行であったような気がする。
 あと、ストヘン行きバス4ポンド40ペンスでクレジットカード使った。

 午前11時45分
 スウィンドンに向かう電車に乗っている。バースで降りてiに行って、また電車に乗った。無計画だと、本当に時間と金を浪費する。
 今日はスウィンドンからコッツウォルズを歩こうと思う。宿の予約はしていない、どうなることやら……。
 イギリスは雲が多い。あと、坊主頭の青年も多い。しかも似合っている。僕なんかぜんぜん似合ってない。あと、ハゲていても横っちょから髪を持って来て隠す人が少ないように思う。若ハゲも多い。

 午後6時5分
 サイレンセスターのBBにいる。今日はえらく歩った。といっても目的だった田舎ののどかな道ではなく、車の通る道。
 スィンドンから、サイレンセスターに向かって歩こうと思っていた。で、スウィンドンから北に向かって歩く。しかし、行けども行けども、静かな新興住宅地ばかりで、ぜんぜん田舎道に出ない。おまけにいま進んでいるのが正しい道なのかわからない。というか、どこにいるのかもわからない。地図はぜんぜん役に立たない。2時間半ほどうろうろした。行った道を戻り、また行く。何回も同じところをうろうろして、30分くらいかけて歩いた道をまた戻る。最後には足の指が痛くなり、バスに乗ることにする。本当に本当に無意味であった。どこにもつかず、ただ時間と体力を浪費して、見たものといえば新興住宅地ばかり。悲しくなった。
 どこに行くのかよく分からないバスに乗る。でもちゃんと駅まで行ったので安心した。3時間ほどうろうろ時間を無駄づかいしたのだ。
 でもとにかく気をとりなおしてケンブルまで行く。ここからならばコッツウォルズの中だし、田舎道を歩けるだろうと思ったが、だめだった。
 駅を出てちょっとの所で庭で犬と遊んでいたおじさんが話しかけて来た。そんでコッツウォルズへの道を教えてくれた。
 書き忘れたけれど、スウィンドンの駅で小さな白人の女の子が僕を見て、ニッコリとほほえんだ。こういう小さな人ににっこりされるのは、とても良い気持ちである。僕もにこにこ生きるべきだなあ。
 さて、サイレンセスターへ行く道は自動車の道で、歩道なんかろくになく、車がびゅんびゅん横を通って行く。やっぱり、違うんだよなと思いながら1時間半くらい歩く。「サージェント・ペッパー」を聴きながら歩く。そして、もう田舎道を歩く元気も残ってないくらい疲れてしまった。
 サイレンセスターに着くと、よろよろB&Bを探す。そしてここにくる。25ポンドだと言われたけど20ポンドにまけてくれた。ツインの部屋である。やっと一人になれたけど、YHの方がいいと思う。さみしくないし、気も使わない。YHが恋しい。

 午後8時5分前

 めしくったら元気が出てきた。3ポンド60ペンスのピツァ。トマトとチーズとオリガノだけのシンプルなやつだったけど、おいしくて、たっぷりあった。最後の方になるとちょっとfed upしたけれども。バースのくそピツァとは比べ物にならん。
 しかしおばさんに教えてもらったコインランドリーはついに見つからない。親切丁寧に教えてくれたのに悪いなあ。明日どっかのYHで洗うか。

午後9時45分
 イギリスは列車が高い。上信よりも高い。上信は世界で2番目に高いと誰かが言っていたけれど、1番はイギリスの国鉄ではないだろうか。
 お風呂に入った。こっちのお風呂は沈むというよりも、寝る、という感じ。僕が1番に入って、その後誰も入らない。みんな何をやっているのだろうか。
 B&Bのおばさんのことを考えてたらノーダイク先生のことを思い出した。彼女は今何をしているのだろうか。
 今日の昼めしはビスケットだけだった。59ペンスのビスケットをひと包み買い、バースでのビスケットについての思い出を思い出しながら、歩きつつ食べた。
 暇なので、1日目にロンドンのYHで見た夢をひとつだけここに書きしるしておく。
 僕は大講堂だか、ライブハウスだかでベースを弾こうとしている。ボーカルがHさんでギターがIさん。そしてステージの上にはSさんがいて見物している。僕たちはさっそく演奏しようとするのだけれど、ベースのチューニングが合ってない。焦ってチューナーで合わせようとするのだけれど、なかなか合わない。そしてその後も色々とトラブルがあり、なかなか始まらない。で、Sさんはコンビニに行きたがっている。もうすぐ始まるから行かないで、と思うのだけれど、あせっちゃって始められない。で、始まる直前にSさんはコンビニへ行ってしまう、という夢。
 こんなことだったら、西に進んでテスのダートムーアを散策した方が良かった。