山椒の小粒になるよりも、ウドの大木になりなさい

こないだまでまるぼうずだった庭の山椒がものすごい勢いで葉っぱを出しているのを見ると、植物ってこんなにも急に緑になるものなのか! と、たまげる。たまげながら、この家に引っ越して来るまでわたしはあまりちゃんと植物をみるということをしていなかったのだな、と去年まで住んでいたなめくじ長屋をふりかえってみたりする。やっぱし庭に植物があるのっていいなあ。人んちの庭なんかだと、あんましじろじろ見るのがはばかられるけど、自分ちの庭だったらいくらでも見ていられるし、勝手に草をむしってみたりしても怒られることもない。

うちのマンションはオール電化なんだかんね。ということを誇りに思うよりも、うちの庭には木がはえてるんだかんね。ということをこそ誇りに思いたい。いや、思った方が楽しいんじゃないのかしら? ということがこないだ買った柴崎友香さんのエッセイに書かれていて、いやあ、ほんとそうだよね、とうなずきながらトイレで読んで、また庭の山椒を眺めてみるという春の日。
いよいよ暖かくなってきて、仕事に行くまでの時間は窓を開け放してひなたぼっこをしつつぼーっと本を読んだりして、まるで毎日が誕生日のような贅沢な生活です、最近のぼくは。